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ピストンリングに四苦八苦 [N1仕様エンジンの製作]

2月は中国の春節(日本で言う旧正月みたいなもの)なんですよ。やっぱり社会主義国家なんですね。「国民みんながお休み」と言ったら、ホントにお休みなんだそうです。現地日本企業は仕事にならない。
だもんで、帰ってきました。昨年、中国に単身赴任された彼が。
んじゃ、全員集合。「中国生活事情代行宴会」じゃなかった、大講演会開催。

50代前半から、30代半ばまで7名集合。って、も〜・・・やっぱり時間通りに集合できないか。
自営業者もいるからね。
んじゃ、最後の一人が来るまで・・・なんか別の話。何の話をする?
「循環小数0.33333333・・は、3回足すと1になるのか?」

・・・・なに?なんでそんな話?
中国の彼いわく、「私、シーケンサー(工業用コンピュータのことね。音楽の世界の機材ではない。)の開発をやっていた時に、”循環小数0.3333・・・を足した時に1にならないコンピュータは、ダメなコンピュータだ。”って指導されたことがあるよ。」

みんな一斉に手持ちの携帯電話を取りだして・・・・iPhone各世代やらAndroidやら、日本製携帯電話やら・・・あ、やっぱりiPhoneがシェアトップなのね。んじゃ、私はiPadを取り出しますですよ。
それぞれ計算結果が違うことにみんな驚き!
今度はまたその計算結果の違いが、OSによるものなのか、アプリケーションによるものなのか、熱い議論。

・・・・みんな、何でそんなことに一生懸命になれるんだ?

誰かが、「分数の1/3をさあ・・・3回足すと1になるよ。だから循環小数0.333・・・を3回足したら、1になるのがやっぱり正しいんじゃないかなあ。」とまとめたところで、最後の自営業者の彼が登場!ふい〜。これでやっとスタートだね。

「今さあ・・・下、大変なことになってる。」
「なに?」
おじさんが道の真ん中で倒れてる。外人さんとかが、みんなでぐるっと取り巻いてた。」
「・・・・・・ほんとに?」

外人がたくさん集まるパブの前の通りが・・・なんか大変大変。って、その時、私と同い年の彼が、すっくと立ち上がって・・・
私、救命救急の資格を持っているので、行ってまいります。

へ?あ、そう。がんばって。いってらっしゃい。

え、お前は手伝わないのか?って?
あ、全然無理。そういうの。前に自治会で人形相手の講習会に参加させてもらったけど、自分が思っているよりも、全然強く胸を圧迫しなきゃいけなくて、怖かったもん。お腹空いてたしね。あ、んじゃ、みんな食事をしちゃおう。

ず〜と戻ってこない。
「ねえ、彼、ず〜と帰ってこないねえ。そんなに大変なことになってるのかな。あ、救急車が来た。」

最後にやってきた自営業者の彼に状況を確認。どんな状況だったの?そのおじさん。
「もう、完全に歩いている途中で、ばったり倒れた感じだったよ。別に酔った人じゃない感じだった。なんか・・・顔色がものすごく悪くて・・・ダメじゃないかなあ。俺、何もしてあげられないと思って、この会場に来ちゃった。」

あ、戻ってきた!どうだった?そのおじさん?
「あ、息を吹き返しました。圧迫処置を続けていたら。」
「へ?そんな大変な事態だったの?ホントにおっペ川・・・じゃなかった、三途の川を渡りかけてた人なの?」
「はい。もう、呼びかけても返事がなくて、全然息もしていなかったです。意識が戻って良かった。」
その後も彼は・・・なんか大変なんですね。地元の消防団に入っているということもあって、なんかまあ・・・いろいろなところに電話したり、電話がかかってきたり。
あ、だいぶ落ち着いた?んじゃ、スタートしましょう。
中国単身生活事情大講演会の始まり始まり〜!」
「はい。じゃ、私が今回お話をするのは・・・・”中国カラオケ事情”です!」
・・・・あの・・・ねえ、ちょっと遮って良い?おかしいよねえ、さっきまで循環小数の話をしていたメンバーだよね。しかも途中で、人一人の命、救っちゃった人までいる・・・

「大事なんだよ!中国でカラオケをやるってことは落とし穴がいっぱいなんだ!みんな正座して聞けっ!」
え・・・なんだよそれ・・・・あ、はい。じゃ、みんな正座して講釈を聞くようにね。

そんな状況なので、ウイ〜って感じです。ディスプレイを見つめていると。
オエッてしちゃいそう。なんだかお話が長くて、グビグビグビグビ・・・・ウイ〜。

え〜と、ものすっごく長い前振りで・・・何書こうとしたんだっけ?
あ、そうそう。エンジンオーバーホールの話ね。
今回は・・・「ピストンリングのお話」

「ピストンリングの話をどう膨らますんだ。いったい・・・」って?
なに言ってんですか!ピストンリング一つでも、ネクタイ組の我々にとっては、一苦労ですよ。も〜。

ガレージオーナーが率先して作業開始。どうも、自分のシビックよりも気になっていることらしい。
お前のBlog読んでて気になったんだけどさあ。ピストンをちゃんとばらさないで、洗浄液につけただろう?しかも、その後、水で洗ってそのまま。ピストンピンとかも抜かずに。」
「うん、だって、エンジン整備書を見たら、”プレスを使ってピストンピンを抜いて・・・”って書いてあって、怖いからそこにある手動プレスには、近づかなかった。」
「・・・・・まず、ピストンリングを全部外しな。工具は貸してやるから。」
なんかその・・・ピストンリングプライヤーっていうんですか?あれ。


二人がかりで、私がピストンを持って、オーナーがプライヤーを持って・・・・外しにくいよ。リング。この工具ホントに役に立つの?写真を撮るどころじゃない。
あ、なんだよおおお〜。簡単に折れちゃった。ピストンリング。

「おかしいなあ・・・そんなに苦労しないはずだぞ、あれ?おいっ!誰か手を切ってるぞ!血か付いてる!」

ん?

・・・・・・・あ、私でした。指先からダララ〜・・・鮮血があああああああ〜!

ピストンリングって、すごいんですね。その端の部分をちょっとこすっただけで、スパッと切れました。しかも、結構深いみたい。全然痛みも感じないのに・・・・ホントに全然止まらないよ。血。

「いったい何やってんだ。あ、ダメじゃないか。これ、完全にピストンリングが、ピストンの溝にかじり込んじゃってる。どんな洗浄の仕方をしてたんだよ。」
「いや・・・それが普通だと思ってた。なんか、パカパカ動くリングと動かないリングがあるな〜って。洗浄液につけ込んで、歯ブラシで磨いていた時に。」
「・・・・そういうことか。やっぱりこのエンジン、そのまま搭載してエンジンかけてなくて良かったな。相当オイル交換をしていないままだったんだ。」

結局・・・かじり込んだピストンリングは、そのままボキボキ折りながら・・・なんとか全部外すことができた。ふう。

二人で苦労して、ピストンリングの取り外し作業をしている中、ガレージオーナーは、WAKO'Sのリムーバーを取り出して、ゴシゴシゴシゴシ・・・・

MIZO.gif

「ダメだこれ。こんなにいっぱい溝が汚れてる。前回の洗浄液、保管してあるだろう?あれにヒーターをかけて、暖めながら、もう一度洗うんだ。これじゃ先に進めない。」

SAISENJYO.gif

「普通はなあ・・・いくら夏だったからって、洗浄液を暖めながら作業するんだ。原液だけで取り切るのは無理なんだよ。俺がいる日に一緒に作業するんだったなあ・・・・」

HITOR.gif

結局この日は、もう、ひたすら「ピストンだけ」を洗浄する作業。
ガレージオーナーがボソッと一言。
「確かにピストン洗った方が良いとは思ったけど・・・まさか3人で一日がかりになると思わなかったよ。まいったなあ・・・全然この溝のところがきれいにならない。いったいどんな使い方をしてたんだよ。このエンジン。」

HITORSAGYO.gif

それでもなんとか「ピストンリングのところに穴が空いてる」のが、わかるところまできれいにできたよ。

PISTONURA.gif

ほら、ちゃんと洗浄液が抜けてく。

結局、この日はこの「ピストン洗浄作業」でおしまい。
その後が・・・また大変だったんですよ。
「ピストンリングセット」(部品番号13011-11122)が手に入らない!
一ヶ月以上待っても・・・・も〜!!!!!

やっぱり、「廃型になった古いエンジン」って言うだけじゃなく、「今時そんな作業をするくらいだったら、車そのものを買い換える。」時代なのかな〜。ホントに納期がかかりました。ピストンリングセット。
なんか、「注文がまとまってからでないと、ラインに流してくれない。」らしいです。
しかも、一発目では、私の注文分まで作ってくれなかった。

やっと入手!
今日は、ガレージオーナーがいないけど、二人で全部とにかく組み付けちゃおう。ピストンリング。
え〜と・・・ピストン1つにつき、3枚のリングをはめっこするのね。って・・・パーツは5つある・・・
どうやって組むんだ?

ブローしたエンジンのピストンを参考資料に解析。
「一番下の溝にチェーンみたいな薄い輪っかと太いリングを取り付ける。チェーンに上下を挟まれるようにして」
「残り2枚のリングは、それぞれの溝に入れる。」OK。やってみよう。

「ねえ、ピストンリングプライヤー使わないとまずいんじゃない。せっかく貸してくれるんだし。」
「やだ。前回使って、次々にピストンリングが折れちゃったから使いたくない。」
「はい。布でコンロッドのところを覆って、万力で固定しちゃって。」
「で、俺がピストンの頭を抑えながら、リングをグイッて下に下げる係。」
「はい。ピストンリングをぱっくり開いて下に下げてく係ね。しばらくコスコスってしないと、ダメだぞ。」
「いや、全然よくわからない。今、真剣勝負の最中。変なこと言わないで。ピストンリング割れちゃうかもしれないんだから。」

真剣勝負ですよ!これまでのオーバーホール作業の中で一番の!
ついに「組み立て」の段階ですからね。二人とも超真剣!ものすっごく時間がかかった。

やったぜ!全部組み付けられたぜ!新ピストンリング!
一本も折らずにうまくいったあああ〜!

で、その日の帰り道。
片道2時間の列車の中で、よくよく「4E-FEエンジン整備書」を読み返してみると・・・なになに・・・・
「ピストンリング表面に刻印がしてある側を上にしてピストンに組み付ける」
・・・・・なに?それ。
「刻印」?
そんなの、全く気にしてなかったよ。あったっけ?

・・・・・・・ムッッキ〜!やり直しかあああああ〜!

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