コネクティングロッドボルトは、全然別物だった [N1仕様エンジンの製作]
計画停電があまり実施されないようになって・・・皆さんだいぶ「普通の生活」に戻ってきましたか?
普通の生活?
あの日を境に「終わりの始まり。」の時間を僕らは過ごしてる。
今は、直近で「お店の棚に水がない。」とか食料品の不安で済んでいるけど・・・・
これからはもっと切実な状況になる。みんながご飯を食べるための「マネー」が手に入らなくなる。
あれは、遠い地方の出来事ではない。
ここのところ毎日「輸出するにあたって、放射能測定をしたのか?」
「放射能の問題がない証明書を添付しろ」等々の困った問い合わせが増えている。
最初のうちは、「は?こんな工業製品の輸出で、なに言っちゃってるの?」ってこちらも怒っていたけど・・・
外国の人たちから見ると、我々が「中国の食品は信用するな」と思っているのと全く同じレベルなんだろう。
もうすぐ「日本製品は輸入するな。」という見識が広がっていくように思う。この毎日のお問い合わせをさばいていると。
資源が無く、工業製品の輸出で成り立っているこの国の製品が、世界中から拒絶されるようになってしまったら・・・
いや、そもそも事業家なら、この被災国でわざわざ資本を投入して、再び立ち上がろうなんて考えないのか?
電気や放射能の心配がない国に資本を移転させるだけで、特に問題ないと思っちゃうのでは?
なんてことをグルグルグルグル考えながら、帰り道を歩いていたら・・・・
「あの・・・このカフェの場所、わかりますか?」
は?
声をかけてくれた方向を見ると・・・若いお姉さんが一人で立ってる。
え〜と・・・・なんか見にくいな。この地図。EZナビウオークで・・・・っていうか、そもそもなんでこんな時間に「カフェ」?もう、閉まってるんじゃない?
「あ、いや、ここって、夜はスポーツバーになっていて〜」
ああ!わかったわかった!私が時々ランチを食べに行くところだよ!はいはいこっち。
「ランチって、どんなのがおいしいんですか?」
いやいやいやいや、お姉さん。話、膨らませられない。そんな気分じゃない。
なんでもおいしいよ。はい。じゃ、ここね。バイバイ。
ずっと後で気がついたけど、この日はJリーグと日本代表との慈善試合があったんだね。それを観に来ていたんだなあ。きっと。
”スーパースター”がきちんと決めるべき時に決めたってことをスポーツニュースで知りました。
お歳をとられても、「毎日継続して努力」を続けている人にチャンスは巡ってくるんですよ。サボったり、流されて生きていたら、あの状況でシュートチャンスを手に入れる事はできない。
あれは、「特別な才能を持った人が輝いた瞬間」じゃない。
私達だって同じ。知らない事があったりしたら、「そんなの知らない」って言わずに何とか自分の身につくように練習を続けなきゃね。
で、丸々一年経ってもエンジンがかからないEP82の目下の課題は・・・
ピストンリングの話。だっけ。まず。
やっとこさ4個分のピストンリングを組み付けた。と思ったら・・・・よくよく確認してみると・・・
やっぱりこんな感じで、「打刻マーク」(この2Nとかって書かれている文字の事らしい)が上下逆に取り付けちゃってる。はあ・・・・
オーナーと二人で、再び道具を全く使わずにピストンリング入れ替え作業。
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まあ、なんとかなったよ。人間、練習を重ねると作業が早くなるもんだ。
んで、次が・・・・いよいよこのピストンをブロックに入れて、クランクシャフトに止めるのね。
「おい、ちょっと待て。このピストンのところのボルトを必ず全部交換しろって言っただろ。買ってきたか?」
え〜と・・・・確か買っておいたよ。言われたとおり。ゴソゴソ・・・・・
「お母さん、どこに行っちゃったんでしょう。僕のコネクティングロッドボルト・・・・」
「お前の母ちゃんいないから。なんだよ〜・・・買ってないのか〜・・・う〜ん・・・・」
ピストンを前にガレージオーナーは、だいぶ難しい顔をしてる。
大丈夫なんじゃない?交換しなくても。おばちゃんスターレットだったって話だし。
「壊れたエンジンの方、無事なピストンあったよな。持ってきてみな。」
渡してみると・・・「ほら、やっぱりダメだ。ボルトのデザインが全く違う。なにか対策してるんだよ。新しいの買ってきな。絶対交換しなきゃダメだ。」
あ〜・・・もう、また足止めだよ。
トヨタ部品共販に買いに行くと・・・「あ、なんかこの番号・・・対策部品になってます。こちらになります。」
出された部品番号は、品番13265-10022
これが8本必要なのね。
店員さんが一言。「あの・・・・ご自分で作業されるんですか?」
・・・・あ、背広の人がこんな「ピストンを取り付けるボルト」なんて買いに来ないのか。
「大変ですね。がんばってください。」って見送られたけど・・・・
その時は、この作業がそんなに大変な事だなんて、想像もできなかったんだよね。
だって、古いボルトを取り出して、そこに新しいのをはめればいいだけだべ?
はい。万力にコネクティングロッドを固定して、ガンガン金槌で叩きますよ。
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全部取れたよ。事前に壊れたエンジンの方で練習しておいて良かった。気をつけて作業しないと、最後の最後のところで、ロッド自体に金槌があたって、変形しちゃう。
んじゃ、今度は新品のボルトを入れて、ガンガン・・・・いや、試しに壊れたエンジンの方で試してみよう。この作業も。
オーナーが一生懸命ボルトを叩くんだけど・・・・全然入っていかないよ。新品ボルト。????
どうにもならない。この作業、そんなに難しかったっけ?う〜ん????
ガレージオーナーがやってきて一言。
「なんだ?何悩んでるんだ。ちょっと貸してみな。古い方のボルトも両方とも。」
「これ、新しいボルト、デザインが変わってるだけじゃなくて、0.5mm太い。」
は?なに言っちゃってるの?ただ見ただけでしょ。どっちも同じ寸法に見えるじゃん。脇に線が入って無くて、ツルツルの方が新型のボルトなんでしょ?
試しにノギスで測ってみると・・・ほんとだ。ツルツルの方が0.5mm太い。
ガレージオーナーの特技の一つに「パッと書いた絵の寸法が、定規で測ると正確に一致している。」っていうのがあるんだけど、目視でもそうだったのね。
「CAD世代じゃできない話さ。現場に連れて行くと、その場で寸法判別ができなくて困るんだ。」
さて、太いのはわかったけど、どうしよう。叩いて入れられないんじゃ、どうにもならないぞ。
「手動プレス使え。そこにあるやつ。」
・・・・・逃げていい?だって、失敗したらすごく怖い事になりそうだもん。だいたい、この半円のところに取り付いちゃっているボルトを垂直に降りてくるプレス機にどうかけたらいいかわからないよ。
ため息をつきながら、ガレージオーナーが事前準備をしてくれた。
なんだか足下にいろいろ転がっていた金属片(ジグ)を組み合わせて・・・おおっ!なんか、ちゃんとプレスの力がかかるように組み上げられたよ。
んじゃ、オーナーがジグを支える係。私が、指示計を見ながらプレス機を降ろす係ね。
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なんとかうまくいったよおおお〜!4つのピストン全部、ボルトの交換ができた!うれしい〜!
「俺様のボルト、歳はとったけど新品なんだぜ〜。再びカチカチさ。ハアハア。」って感じ(?)
ピストン4つ並べて、ニヤニヤしている私の脇で、オーナーが荷物の箱をゴソゴソ。
「あのさあ・・・ひょっとしてこの袋って・・・今回のボルトと同じじゃない?」
見ると、品番13265-10022って書かれた新品のボルトが8本・・・・
なんだよおおお〜!やっぱり買ってあったんじゃん!余っちまったああああ〜(苦悩)
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