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ベアリングキャップって交換しちゃいけない部品なんだね。 [3機目のN1仕様エンジン]

やっとヘッド側の準備が整った3基目のN1仕様エンジン。

ここからはひたすらエンジン整備書通りに組み立てていくだけ。もう時間がないので、3人で手分けして作業をするのだ。

・外車整備係がクランク組み込み

・オーナーがプラグチューブガスケット交換

・私が、ピストンの縦傷を紙やすりで擦る係


エンジン整備書を見るたびに長年、「謎記載ページ」だと思っていたところが、今回判明したのだ。外車整備係によって。

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この写真、すごく分かりづらいけど、うっすらと数字が入っているのだ。

エンジン整備書には、「クランクメタルの番号が振ってある場所」と記載があるんだけど、長年、「何も書いてないじゃん。その場所に。」って思っていたのだ。

今回、この番号を浮き上がらせなければいけないような事件発生。


エンジン整備書を一生懸命読んだ外車整備係が、記載されている場所をパーツクリーナーとワイヤブラシで擦りまくって、発掘作業したのだ。

こんな感じで、うっすらクランクメタル番号が記載されているなんて知らなかったよ。

クランクメタルの番号そのものは、部品に不滅インクで記載されている。(って言っても、拭いてしまうと消えてしまうんだけど。)

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保管しておいたベアリングキャップと古いメタルの組み合わせをそのまま新品メタルに交換して組んでいくだけだから、すぐに終わるだろうと思っていたんだけど・・・


クリアランス測定

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測定・・・

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なに?

プラスチゲージをどんどん消費して、悩んでる。

「回らない・・・・」

「何が?」

「クランク・・・・クランクシャフトが回らない・・・プラスチでクリアランスは確認できてるのに。」


何言っているんだ。外車整備係よ。そんなわけないだろう・・・クランクシャフトの先に取り付けられたラチェットレンチを・・・あ、アレ????この重さの・・・この感覚・・・


「ああ、これ、去年、私がN1仕様2基目を組んだ時と同じ。規定トルクで締め込んだ後、この重さになったから、おかしいおかしいと思って、何度もチェックしたんだ。プラスチゲージ1本全部消費して。で、クリアランスも規定値通りだから、こんなもんだろうって思って、組み上げたんだよ。」

「いや、絶対おかしいです。だって、ピストン入れてないのにクランク単体で指で回せないって、そんなわけはない。一体何しました?」


う〜ん????

思い出すと・・・・


2.で、傷がつくことがなかったブロック側を選択。

3.ピストンや、クランクは、傷が付いたエンジン側の物を使用。

4.コネクティングロッドボルトの交換作業中にクラックを見つけたピストンは、「傷がつくことがなかったブロック」側に使われていたピストン。なので、仕方がないので、傷がついているピストン4個をそのまま使おうとしている。


全部説明した後・・・なんか・・・外車整備係が、ため息をついている。海よりも深いため息。


オーナーが一言。

「ねえ、じゃあ、クランクとピストンは同じエンジンからなんでしょ?」

「そう。」

「じゃあ、ブロックも同じエンジンのやつに交換してみたら。」

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放置していたばっちいブロックに組み付けると・・・回った!すごく軽くクランクを回せる!


外車整備係が確認。

「これ、ブロックだけ交換してたんですか?」

「そうだよ。他の部品は、全部筑波サーキットで機関車トーマスをやっちゃったやつ。白煙モクモク吐いたまま、コースインさせて、係員さんにものすっごく怒られたやつ。」

「ええ、いましたよ。私も現場に。じゃあ、このクランクを止めるところの金具も、機関車トーマス側のエンジンなんですね。」

「そう。」


なんか・・・なんか・・・再びため息ついてる。海よりも深いため息。日本海溝並み。


「エンジンをニコイチにしようなんて発想しませんよ。普通。ブロックとベアリングキャップとクランクは、一体物です。」

「そうなの?だって、このベアリングキャップってやつに番号ついてるじゃん。その番号があってれば良いと思っていたよ。」

「そんな感じで、2基目のエンジンを組んだんですね。このブロックのベアリングキャップは?」

「う〜ん???あの時はさあ・・・エンジン2基分をいっぺんに洗ったから、全部ごちゃ混ぜ。


再びため息。海よりも深いため息。もう、マリアナ海溝並み。


結局、この日の作業は、元のブロック用のベアリング番号が揃っていなくて、お開き。こんな感じで、部品がないと1週間作業ができないのだ。トヨタモビリティパーツに買いに行かないといけない。


クランクをブロックに組み込んだ後は、ピストン取り付け作業。

ピストンリングNO.1の方向確認

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ピストンリングNO.2の方向確認

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ブロックへの組み込み手順確認

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1基目のN1仕様エンジンの時は、「ピストンリングそのものに上下方向」があるなんて知らなくて、ピストン全部に取り付けてしまった後、全部やり直しになってしまったのだ。今回は、ちゃんと印が上になっていることを確認して、この後、ピストンリングコンプレッサーを使って組み込みました。


「N1仕様エンジン」の要は、このガスケットです。

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TRD製(とっくの昔に廃盤)の薄いガスケットにすることで、やっとこれまでの「ノーマルエンジン」から解放されることになります。


失敗したのが、ヘッドとブロックの組み付け作業。落とし穴があるんです。

まずは、組み付け用のボルト。

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長さが2種類あるんです。(当然、部品番号が違う。)

ここは引っ掛からなかった。ちゃんとエキゾースト側、インテーク側で分けて組み込みました。組み込んだんだよ。ええ。全部。塑性法で。


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これ・・・・組み込んでしまった後のブロックを上から撮影した写真なんですけどね。分かりますかね?

わざと何も印をつけません。落とし穴があります。この写真に。


さっきの長いボルト・・・組み込んだ後、ヘッドブロックとの間に「丸い隙間」があるのが気になっていたんです。

「なんだろう・・・ボルトの周りに丸い隙間って・・・なんか・・・ワッシャーが入っているような・・・・」

その通りでした。


写真を撮っていませんが、この後、分解部品を一通り収納してある箱を漁っていたら、ワッシャーが出てきました。10枚。ああ・・・


私は、とにかく一回組み込んでしまったボルト類は、失敗作業の時は、全部再び新品交換です。再利用はしない。

なので、またここで1週間。もはやトヨタモビリティパーツに通勤?


オイルストレーナーのOリングも交換して

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新品オイルポンプも取り付け

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って、ふう・・・シールパッキンブラック塗布失敗。拭ってやり直しだ。


タイミングアイドラーのボルトも対策部品になっていた。

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で、最後の難関が・・・それも、予想していなかった展開。

新品のタイミングベルトを取り付けて、それでおしまいさ。って思っていたんだけど・・・ちゃんと組み込めない。


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理想はこの状態。

クランクシャフト側の印(突起)とヘッド側の丸い穴の位置がぴったり合わないといけないんだけど、どうやってもヘッド側の穴位置が左側に半コマぐらいずれてタイミングベルトがはまってしまう。


オーナーと二人で、ウンウン。

「おかしいよ。タイミングベルトってさあ・・・最初の頃は、二人で目一杯力を込めて取り付けていたものだけどさ。」

「うん。」

「最近はさ、タイミングアイドラーの脇にあるスプリングを最後に引っ掛ければ取り付けられたじゃん。」

「そう。力をこんなに込めなくても、取り付けられるようになっていたよ。」

「なんだ?なんで、何回やっても、最後の最後で、穴位置がズレるんだ?」


苦悩。ものすごく悩む。(本当に時間がかかった。)


最後の最後に編み出した方法は、

1.今までと違って、スプリングは引っ掛けておく

2.タイミングアイドラーAのボルトは、緩めておく・・・っていうか、外しておいて、タイミングベルトをかけてからなんとかする。


ふい〜・・・なんとか、タイミングベルトも取り付けられたぞ。なんか・・・この辺りが、ヘッドガスケットを薄くした影響なのかもなあ・・・


あ、最後に確認。

「オイルポンプオイルシールのところさあ・・・グリース塗ってから取り付けたっけ?」

「あ、忘れた。」

「・・・・」

もう無理。疲れた。このままカバーを取り付けて、さっさと車体に搭載するぞ。




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