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ミッションのオーバーホールは無理だった [EP82日常整備]

JOY耐2014年版規則書が公開になりました。
ざっとポイントを解説しておくと・・・
1)申込書は、”ついに”Web受付開始
2)先着90台受付
3)2013年に施行された「登録ドライバーは全員出走義務」は取り下げ
4)ただし、「ドライバーチェンジ5回」義務は存続
5)ドライバーチェンジ時に「トランスポンダーを必ず」交換義務
6)トランスポンダー交換時間を加味してなのか、昨年より燃料補給時停止時間が1分加算
(主力車種群"VTEC勢"は、昨年と変わりなし)
7)昨年施行された「義務ピットイン」制度廃止

トランスポンダーの交換作業が、面倒なことになりそうな予感があります。
ツインリンクもてぎも思い切った投資を行いましたよね。今までは、90台のトランスポンダーで良かった物が、恐らく・・・400台ぐらい準備しなければいけなくなったハズなんです。
想像ですけど、昨年の「登録ドライバー全員出走&義務ピットイン」制度は、相当現場(管理側)を困窮させたんじゃないかと思います。

Web登録開始と合わせて、事務方はだいぶこれで楽になるんじゃないかと思います。
(昨年の受理書送付時には、ピット割りとか参加者一覧も同封されてなかったもんね。)
トランスポンダー1人一台は・・・流行のビックデータというほどではないですけど、収集データの使い方で、今後のレギュレーション改正や、あるいは「要注意ドライバー」抽出・・・・連動して、各ポストやアナウンサーさんも含めての注意喚起につなげられそう。

私達の今年の活動で決定していることは、今の時点で一つだけ。
「ミニJoy耐には参加しない。」

”燃料補給無制限&義務ピットインあり”のこの大会では、どうやっても大きな車両に一泡吹かせそうもありません。

「大金かけてツインリンクもてぎにやってきたのに決勝を走ることができなかった。」あの大会のトラブル原因は・・

どうやらLSDが壊れていたらしい。
大会1週間前にハブが壊れてしまったのも、「本当のトラブルの原因は、LSDが壊れ始めていたのに無理して走り続けていた。」ことだったらしい。

「後で振り返ってみると・・・ああ、そうだったのか。」と思うところがあって・・・
確かに筑波の1ヘアピン脱出で、右側のフロントタイヤが空転するようになっていた。ハブが壊れた時期の練習走行で。
で、オーナーと二人で、「なんかおかしいねえ。なんで急にこんなふうになっちゃったんだろう?」といいながら走っていた。
最終コーナーがすごく走りにくかったんだけど、その原因は、左フロントハブ異常のためだった。と思い込んでしまって、ミニJoy耐に突入。

そうじゃなかったんだなあ。どうやら。
2007年暮れにFISCO仕様として購入したEP82に装着されていたミッション&LSDを延々と使っていた。
「せっかく修理しても、すぐにガリガリいってしまう。1年に一度は、ミッションを降ろさないといけない。」
状態のまま、2013年まで引っ張ってきた。
それが普通だと思ってたしね。
(もともと、2008年に走り始めた時点で、3速がガリガリ音が出る状態での購入だった。)
途中、TRD製フルメタルクラッチがバラバラになったときには、ケースまで損傷してしまって、手持ちの部材をいろいろと組み合わせて、一基予備ミッションを作っていたんだけど・・・
どうにもうまくない。(このミッションが2013年ミニJoy耐時にトラブルになったほう)

今回、2012年の本大会完走後に降ろしていたミッションをオーバーホールするにあたって立てた方針は・・・
1)”まだ使えそう”と思って、使い続けてきた部品は、全部新品に交換する。

2)TRD製LSDは、”今までご苦労様”ということで、ASSY交換。今でも生産してくれているCUSCO製の新品に交換する。

で、当初は自分でミッションオーバーホール作業をやろうと思っていました。私。
エンジンに比べたら、ずっと部品点数は少なそうだし、「二人作業」でもなさそうだしね。
こつこつ一人でやれば、なんとかなりそうだ。

事前にオーナーとフォークリフト修理係に話をしてみると・・・
「ミッションは、やめておいたほうがいいです。絶対に。」
と強硬に主張されてしまった。

そうなの?できそうな気がするんだけどなあ・・・形式違うけど、C52っていう、スターレットターボに搭載されていたミッションの整備書は手に入れたよ。だいたい同じなんじゃないの?NA用のC150やC140も。

結局、フォークリフト修理係が作業をしてくれることになった。
油圧プレスが必要になるんだって。それはさすがに持ってない。白旗を掲げることにしました。

2012年夏以来、ほったらかしにしていたC150ミッションを作業場に持ち込む。
5速ミッションエンジン側.jpg

5速ミッション.jpg

フォークリフト修理係によると、トヨタFF車のマニュアルミッションは、ものすごく分解作業がしにくいらしい。
このお尻側の「黒い鉄板ケース」の部分に5速のギヤが入っている形になっていて、とにかくこの部分の分解が難しいんだって。
pin.jpg

スナップリング取り外し作業も、「2本のマイナスドライバーをうまくつかって」外さないといけない匠の技が求められます。

tou.jpg

灯油でジャブジャブ部品を洗う。

この後、部品疲労度をチェックしてもらって、新品交換部品として購入した物がこの一覧。
misshonbuhinzenhan.jpg
misshonbuhinkohanjpg.jpg

総額12万円ぐらいかかりました。部品だけで。
部品番号を探し出してくれたので、私はただそれといつも通りトヨタ部品共販に持ち込んだだけなんだけど・・・
部品番号を探し出してくれたフォークリフト修理係は、相当大変だったんだな。ってことが目の前で繰り広げられてしまって・・・

トヨタ部品共販って、土曜日も営業してくれているのですが、16時にこの一覧を渡して・・・・
お金の払い込みが終わったのが19時過ぎ。
受付のお兄さんが、定時後も延々と悩むことになってしまった。

なにぶん、20年も前の車なので、「後継部品番号」がどんどん変わっていたんです。
普通は、車体番号だけで簡単に確定できる物なんですけど・・・なにぶん競技車両なので、「車体番号と使っているミッションが違う。(そもそもAT車にMTを移植しているのだ。)このミッションは、いったい何年式?」状態になってしまった。

ギヤ一枚で、「後継部品番号が3種類」とか出されてしまって、私も悩む。
私の山勘で、部品番号を全部確定させて・・・驚いたのは、「20年も前の車のミッション部品なのに廃型品が一切なく、全部数日で入手できた。」こと。

トヨタのすごさって、たぶんここなんですよ。
「図体が大きいから、古い部品だってストックできるんだ。」ではなくて、「問題が起こっていない部品であれば、できる限り長く使い続ける。時代の流れと共に必要であれば、4速ミッションで設計された物に5速ギアを追加してでも使い続ける。」

日本では、もはやマニュアルミッションは絶滅危惧種指定だけど、世界で見たら、全然マニュアルの方が、出荷台数が多いはずですからね。

トヨタの車で競技をやっていて良かった。

ずっしりと重い交換部品の箱の中身を見ながら、既に不吉な予感が・・・
「みんな同じに見えるけど、一体どうやって判別するんだ?」

「私も毎回悩んでいましたよ。このEPに関わるようになって、さんざんトヨタのマニュアルミッションを分解しなければいけなくなって。で、解決策を見つけました。外したパーツを使って、”サンプル”を一基作ったんです。これで迷うことがなくなりました。」
ジグ.jpg
メインシャフトに取り付けられたミッションギヤ一式が、目の前にサンプルとして出されたときに思った。
「これは無理だ。ギヤの一枚づつが、わずかに違うだけの物が一体化している。一つでも間違ったら、ちゃんと作動しない。」

エンジンチューナーって職業が、いまでも・・・たぶん存在しているじゃないですか。
ミッションチューナーって職業はない。っていうか、「ミッション組士」か。
自由裁量があるエンジンチューナよりも、ミッション組士の方が、大変。
そっちの方がお金を取れそう・・・・ってこの作業中に強く思ったんだけど・・・
無理か。
「ノーマルと全く同じ。当たり前の動きをするように当たり前に組む。」
ことにプレミアム金額は払わないのか。みんな。それどころか、マニュアルミッション車なんて、もはやほとんど生産されていない。

固定用ジグ(私が持っていない工具)を使いながら、メインシャフトに並べたギアをプレスで圧入する。

この作業を見てしまうと・・・「ミッションをいたわりながら、長い時間走れるようにならないといけないな。」と強く思ってしまった。
たまにちょっと手で押さえるぐらいで、なにも手伝えることがない。こんなことをずっと一人で繰り返してきたんだなあ。

CUSCOの新品LSDって、何種類かありますけど、なにを選びます?」
ああ・・・いや、いいんだ。好きな物を選んで。

「自分より速い人」の選択に口を挟むことはないよ。その選択結果も聞かなくて大丈夫。
彼は、TTC1400のドライバーに匹敵する速さを持つ男。
彼が走る姿を見て、時折本当に「若い頃にサーキットにきていたら、ひょっとしたら違う人生だったんじゃないか?」と今でも思う。
その速さは、ダートトライアル競技で鍛え上げられた物だとしてもね。

さて、ミッションはこれでオーバーホールが終わったから・・・せっかくだから、駆動系全部を見直ししようか。次は、ハブとドライブシャフトだ。

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