パーキングブレーキ問題は・・・結局、解決していなかった。 [ドラムブレーキが分解できない!]
先週は、「父の日」でしたねえ・・・
みんな、父の日、ちゃんとお祝いした?
私は、「ハイドロフラスク」ってボトルを手渡ししましたよ。父上様に。
筑波サーキットに向かう途中の車内で聞こえてきたFMでのお話。
何か・・・ハワイでものすごく流行っている「冷たいものは24時間冷たいまま。温かいものは、12時間温かい。」構造のドリンクボトルなんだそうです。
「そんなわけないだろ?うちの奥様は、"サーXス買い直したけど、倒したら、すぐにダバダバ漏れる。なんか、すぐにぬるくなっちゃうし。"とかって言ってたぞ。」って、まあ・・・その時は、車内で独り言を言ってたんですけどね。
気になって、買っちゃいました。一番でかい1,800CC仕様。
「父上様。私の今年の献上物は、ど〜んなに凄い物かと解説しますと・・・」
なんて解説をしていたところに実弟到着。
「おう。ジイさん。元気?ほら、これ。」(ピッとポチ袋に入った現金を投げ捨て。)
「なんだ兄貴、来てたのか?なに?また変なもの渡そうとしてるの?」
一通り解説。
「これさあ・・・どうやって飲むんだよ。こんなでかいの。」
「え・・・いや・・・父上様のことだから、小さいのを渡すとすぐに中身がなくなるかと・・・で、また、”飲み物買いに行くのめんどくさいや”とか言っちゃって、熱中症でぶっ倒れるのを防ごうと・・・」
「このでかい注ぎ口をこう・・・口に向けて・・・死ぬな。溺れ死ぬな。でかいボトルのせいで溺死。ジイさん。無理そうだったら、正直に言ったほうがいいぞ。毎年毎年。」
「自分の父親に向かって、”ジイさん”とかって連呼してるんじゃないよおおお〜!相変わらず、出世街道爆進中だからって、なんでも金の力で解決できると思ってるんじゃない!現ナマ投げ捨ててるんじゃないよ!」
「ああ・・・いや、いいんだ。ジイさんで。事実だから。」
「あ〜ら、私は嬉しいわよ。現金。」
母上様登場。いや、そのポチ袋、父上様にあげたはず・・・なんで持ってちゃうの。
「年寄りはねえ、もう老い先短いんだから、いいものなんていらないのよ。」
あの・・・そのままフェードアウトしないで・・・
ということで、「ハワイで流行っているボトル」の性能は分からずじまい。
「父の日には、現金」だったよ。みんな。
はい。来年に向けて、五百円玉貯金開始ね。
え〜と・・・で、はいはい。本題ね。
今日こそ「ドラムブレーキが分解できない!」問題、解決編ですよ。これでファイナル!
さて、リヤアクスル全体を交換して、念のため、ハンドブレーキケーブルも移植を完了。
これで、リヤブレーキシューを組み込めば、再び走れるようになるぞ。
ドラムブレーキの分解整備・・・憂鬱。
このEP82の整備で、一番憂鬱な作業です。エンジンとかミッションの積み替えよりも憂鬱。
先に道具と「消耗部品」を一通り準備してください。事前の段取りがものすごく大事。ドラムブレーキ整備。
まず、消耗部品。あ、ドラムブレーキシューは当然ね。
もっと小物の準備が大切です。
Cワッシャー 品番90213-06013
これは、できる限りたくさん手持ちしておいたほうがいいです。
というのは、こんな感じで現品に装着されています。
この装着してあるCワッシャーを外すのが・・・ものすごく大変。
嫌になって、工具を買ってしまいました。
- ショップ: あきばお〜楽天市場支店
- 価格: 3,790 円
KTCのこの工具を使うと、簡単簡単。ただし、外したCワッシャーは、再利用不可能になるので、事前に予備Cワッシャーをたくさん在庫しておく必要があります。
他に事前に集めておかなければいけない小物は2つ
品番96160-00600のワッシャー
この黒いワッシャー・・・既存のものを外した瞬間に吹っ飛んで行方不明になります。大抵。
品番95381-04030の割りピン
割りピンをねえ・・・「もったいない」って言って、ず〜と伸ばして再利用していた時代があったんですよ。
金槌でコンコンコンコンコンコンコン・・・
ある日、「再利用しすぎで、もう、本当にリヤドラムブレーキから引き抜けない。」事態になったことがあってねえ・・・あの頃は若かった。(遠い目)
割りピンよりも高くついたのさ。引き抜くために。フッ。
その日以来、常に割りピン在庫をするようになりましたよ。一回使ったら、さっさと捨てる。金槌持ち出さない。
あと、工具を持っていないと難航する作業が二つ。
この丸い部品がスプリングを挟み込まなきゃいけなくて・・・
この「押して、くるっと回す。」工具をオーナーが持っていたから、なんとかなってる。
それと、この左下に写っているスプリング。
スプリングをシューの溝にうまく引っ掛けなきゃいけないんだけど・・・マイナスドライバーとか使っても、いつまでたっても引っ掛けられない。
「スプリングフック」という工具を使ったら、劇的に簡単だった。
で、事前準備ができていることを前提に、作業の振り返りをしますよ。
組み立て順なのですが、「下から上に」部品を組み上げていかないと、「丸い筐体の中に一通りの部品を収めることができない。」状態になります。必ず、「下から上に」の順番です。
一番大変な作業は、この「黒い大きな輪っか状のスプリング」を取り付けるところ。
これ、すごく取り付けに苦労している真っ最中の図なのですが、結局この後、「片側を引っ掛けておいて、とにかくこの黒い輪っか状の部品を持って、逆サイド側に体ごと引っ張って収納する。」方法が一番取り付けやすいと実感しました。
(この写真の姿勢の状態では、全く取り付けられなかった。)
で、部品を全部取り付けた状態が、こちら。
この状態で試したかったのが、『ハンドブレーキは、両輪効くのか?』
ハンドブレーキをガコガコガコガコ・・・
やっぱり・・・やっぱり2015年秋の時と全く同じ症状。
右側が、全くパーキングブレーキとして、作動しない。
なんでだろう・・・ケーブルも交換したし、何よりも、リヤサス周りは、完全に部品を入れ替えてる。
「オートアジャスターがさあ・・・ちゃんと組み立てられてないんじゃない?」
もう一度、全部組み立て直してみて・・・・アジャスターのほら・・・ここのパーツがちゃんと周辺のパーツに接触していないんじゃない?
オーナー夫妻と3人でウンウン。
何度見直しても片側しかパーキングブレーキとして作動しない。
よ〜く整備仕様書を確認して、整備仕様書通りにアジャスターのあたりは、ノンメルトルブを塗ったりしたんだけど・・・
わからないよ。どうして「片側だけ」パーキングブレーキが効くなんてことがあるんだろう????
困り果てているところにAE86レースの彼が登場。
一通りの状況を説明する。
「ああ・・・この車両、ケーブルまで交換したんだろ?」
「うん。」
「じゃあ、構造は一通り見たよね?運転席から来た1本のケーブルが、途中で2つに分かれてただろ?」
「そうだよ。そこのあたりを移植するのにものすごく苦労した。」
「その二つに分かれるところが、シーソーみたいな働きをするんだよ。片側だけが先に効き始めちゃうと、そっち側だけ引っ張られる構造になっているんだ。」
「・・・・・」(よく状況がわかってない。)
「まず、運転席脇のハンドブレーキのところにある、ケーブル調整ネジを完全に緩めな。」
「で、ドラムブレーキ側も両輪ともアジャスターを目一杯絞るんだ。」
「いや、絞っちゃったら、全長が短くなっちゃって、シューをうまく取り付けられないよ。」
「んも〜・・・そんなマイナスドライバーとか使って、チマチマやらない。奥の板を指で押さえておけば、アジャスターは、簡単にクルクル回るんだよ。」
あ、ほんとだ・・・あっという間にシューを取り付けられるギリギリまで、アジャスターの全長が短くなった。
「で、この状態でいいから、ハンドブレーキを引いてみな。くれぐれもブレーキペダルには足を乗せないでね。油圧でピストンが飛び出してきちゃうぞ。」
ダウンロードは🎥こちら
うおおお〜!!!!
ほんとだ。いとも簡単に両輪共ハンドブレーキがかかるようになった。
そうか、2015年のJOY耐初日にセーフティーローダーから、勝手に車両が落ちてきちゃったけど、あの時から調整が間違っていたんだ。パーキングブレーキが片効きのまま大会を走って、秋の整備の時も解決できないまま、丸1年以上、練習走行してしまったから、リヤドラムブレーキ全体が取り外せなくなったんだ。
さあ、じゃあ、いよいよ蓋を閉めよう。
割りピン装着
ハンドブレーキシステムの移植は、ものすごく大変だった。 [ドラムブレーキが分解できない!]
6月の筑波3時間耐久(練習走行)は・・・結局、台数が集まらなくて「延期」になりました。
「中止」ではなくて、「延期」。
・・・・永久に延期だったりして。
なんかね。もう・・・魂が抜けた感じですよ。脚本家のたまちい様も降りてきてくれなくて、おかげさまでこのBlogも一ヶ月半ほったらかしですよ。毎日毎日たくさんの人が訪問してきてくれるのに。
はい。Blogほったらかし期間の間に佐藤琢磨選手が歴史的快挙を成し遂げてくれたり、トヨタがル・マン予選デーで圧倒的な速さを見せていたりの1ヶ月半でしたが、気を取り直して記事を書きますよ。
今回のお話は、いよいよ「ハンドブレーキの移植」のお話。
そもそもこのお話の始まりは「ドラムブレーキが全く分解できなくなった。」というところから始まったお話です。(もう、数ヶ月前の話だから、みんな忘れちゃったかもしれないけど。)
やっと「ブレーキ」という単語が出てきました。今回でこのテーマをやっと終わりにできるか?
リヤサス周りを全移植作業に取り掛かっているEP82。
なんとかリヤアクスル全体を取り付けすることができたので、あと残っているのは、「ブレーキを組み付ける」ことだけ。
ブレーキは、いつもの「リヤブレーキシュー取り付け」・・・あのめんどくさい作業・・・の前に、今回限りの特殊作業があるんだった。
それは、「2015年秋に”ハンドブレーキが効かない!”問題に大苦戦したんだけど、それはそもそも”ハンドブレーキケーブルがダメになっていた”からではないか?」という疑問への挑戦。
全損車両から、ハンドブレーキシステムを取り外して見て、現有車両と比較してみよう。
ハンドブレーキシステムの分解なんて簡単さ。なんたって、リヤアクスル周りを外すためにケーブルそのものは引き抜き済みなんだから。
リヤ周りがないんだから、この運転席脇のハンドブレーキのネジを外せば・・・
あらよっと。ネジ4つ外せば、この黒いハンドブレーキから先の部分がガバッと・・・ガッ!え?あれ???
・・・なんだ?全然ひっかかちゃって、ケーブル類が全く出てこない。???
仕方がないから、車体の底に潜り込むと・・・・あ〜・・・
ハンドブレーキの先が、こんな感じになってた。これじゃ引っ張っても運転席側にケーブル類が出てこないわけだ。
ボディには、ゴムキャップみたいので、ケーブルが保持されているみたいだけど・・・この先の「ハンドブレーキから出てきたワイヤ1本が2本に分岐されている部分が・・・なん・・・だ・・・どうやって取り付けられているんだ???
外せない。外せないよ〜!!!
一人でウンウンやっているところにオーナーが到着。
事情を話して、選手交代。
潜って様子を見たあと・・・「あれだよ。内装はがしの時に使った工具をちょうだい。」
はい。丸い輪っか状になってるやつね。
「あと、マイナスドライバー。」
はい。って、あれ?あっという間にケーブルを引きずり出して、這い出てきた。
え?え?どうやったの?
「いや、これ、丸いフックで引っかかっていただけなんだよ。道具を使って、突っついたら外れたよ。ケーブル。」
あ、そう。難しく考えすぎたかな。真下から見ていて。
この取り外したケーブルと、現有車両のケーブルを比較してみたんだけど・・・全く長さは変わらない。
なんか・・・嫌な予感。予想では、「現有車両のケーブルは伸びきちゃっていて(長くなっていて)、だからハンドブレーキが効かなかった。」というストーリーだったんだけど・・・
ま、とにかくこの取り外したケーブルを移植しよう。ケーブルの長さは全く変わらないってことがわかったんだから。
で、移植作業が・・・簡単・・・なはず・・・だったのにものすごく大変な事態。
現有車両の方は、ハンドブレーキそのものは外していないから、さっきの「1本が2本に分岐されるところ」がめんどくさいんだろうと予想していたんだけど・・・
そうじゃなかった。あれは、「単に丸いフックに引っかければOK」だった。本当に。
問題は、その先。
わかる?
さっきの二つに分かれたところから、パーキングブレーキ用にそれぞれケーブルが左右に走るんだけど、それは単純に「右のケーブルは、右のリヤブレーキに。左のケーブルは、左のリヤブレーキに。」とはなっていなくて、左右でクロスして分かれていくようになっていた。
で、そのクロスする部分の前に、この「金物」が・・・・
ボディワーク側の保持部にこの「ねじ止めのケーブル保持金具」を”スライドして”なんとかはめ込まなきゃならないんだけど・・・
とにかく入らない。
元のボディ用の保持金具でないと入らないのかと、いろいろやってみたんだけど・・・本当に無理。
何か、ボディーワーク側とのわずかな公差ではめることができないらしい。
CRC5-56を駆使しながら、二人で交代しながら延々と作業。
編み出した作業方法が、
1)リヤブレーキに向かう保持金具は、全部外しておく。(つけてしまうとケーブルの動きに制約が出る。)
2)金具を入れようとする係とケーブルを”できるだけ水平に保持”する係の二人に分かれる。
これで、なんとか金具を装着することができました。はあ・・・ものすごく大変だった。
最近生産されている車両が、「高級車だけでなく、排気量が小さな車まで、電動バーキングブレーキ」になっていることが気にはなっていたんです。(ハイブリッド化の影響かと思っていた。)
「何でもかんでも電動化って・・・長期信頼性を担保できているのかねえ・・・EP82なんて、生産終了後、20年経っても競技で使えているよ。最近の車両は、20年後も部品が確保できるのかね?」
自分達で、パーキングブレーキ移植作業をやってみて・・・
「これじゃあ、どんどん電動化されるわけだよ。こんな部品点数、取り付け作業を行なっている生産関係者は大変だ。」
まあ、経験に裏打ちされたシンプルな構造だってことはよくわかったけどね。
絶滅すると思います。ハンドブレーキシステム。あ、そんなことになったら、ジムカーナ車両がなくなっちゃうか。