いよいよエンジンの分解作業を開始 [3機目のN1仕様エンジン]
Joy耐2024の日程、やっと確定しましたねえ・・・(今年は、7月6・7日開催)
恐らく、各地のサーキットのイベント開催状況を確認しながら、日程を変更していったのだと思います。(大きな大会なので、マーシャルの皆さんを集めるのが大変)
で、いつも通り、特別規則書を読み始めたのですが・・・ちょっと今年は・・・大変大変。
我々は、今年で10回目のJoy耐になるのですが、初めて「レギュレーション大改訂」を体験することになります。驚いた。ものすごく。その改訂内容に。
正直、想像を超えていました。
昨年の特別規則書の段階で、「クラス分けを変更する可能性あり」と明記されていたのですが、私の予想は、「せいぜいクラス分けの整理とハイブリッドカーの排気量拡大」だろうと思っていました。
「プリウスの排気量・・・ではなくて、Honda車のハイブリッドカーの排気量」に合わせるためのレギュレーション変更。
と予想していたのですが・・・
まさか、ガソリン搭載量と補給量に手を突っ込んでくるとは思わなかった。
まあ、今年の大会が終わった後は、参加者全員が、「土曜日と日曜日の朝が、とっても楽になった。」と言うことになる大会になると思います。
それぐらい大きなレギュレーション変更です。
一言で表すと、「大きな安全燃料タンクを装備していない時点で、勝負権はない。」大会になったということです。
まあ、5万円のスターレットにそもそも「搭載してしまったら5年に一度更新しなければならなくなる」安全燃料タンクを搭載しようなんて思ったことはないですから。
我々からすれば、いつも通り「遠い世界の話」です。
お金持ちの皆さんは、この10年強の間にみなさんS耐の方に行かれたので、今回のレギュレーション変更に伴って、わざわざ安全燃料タンクを装備するチームはそんなに出ないだろうと・・・どうだろう?
ま、頭切り替えて、本題に行きますよ。
「自分でN1エンジンを製作してJoy耐に出場する。」お話は、やっとこさ「元のエンジンを分解する。」作業に入ります。
いつもだと、さっさと上から順番にバラしてしまうのですが・・・
このエンジンは、完全なラインオフ状態ではなくて、一度、Giボディから下ろした時にタイミングベルトや、オイルポンプを新品交換しています。
で、黒歴史車に載せたところ、機関車トーマスを筑波サーキットで演じてしまったという・・・
2基めのN1仕様エンジンが、「全くスターターが回らなかった。」ことから、みんなに言われたのは、「クランクっていうのは、手で回るから。工具を使って、思いっきり力を入れなきゃいけないって、全然おかしいからね。」
ということで、バラしてしまう前に動画を撮っておきます。どんな感じの動きなのか。
ラチェットレンチは使ってしまっているのですが、確かに力をかけずに回せます。
2基目の時は、こんな感じに片手で動かせなくて、「なんでだろう・・・う〜ん・・・気のせい気のせい」って思うことにして、搭載しちゃったんだよね。
さて、動きは記録したので、「バラすための各部品の位置関係」を把握しておこう。
まず、2本のシザーズギアの位置合わせの様子
この時の2本のカムシャフトの位置関係
カムシャフトを外してしまう前にバルブクリアランスの現状把握
これ、隙間ゲージを差し込んでいる写真なのですが、だいぶ苦悩しました。自分の測定の仕方がおかしいんじゃないかと思って。
何度も測定し直すことになった。
排気側が、大幅に外れている(数字が大きくなっている。)のは、これまで分解してきた4E-FEエンジン全てに共通しています。
ただ、このエンジン、その大幅に外れている数値が、各バルブごとにバラバラ。
吸気側は、基本数値から外れていない・・・のが、これまでのエンジンでした。
が、このエンジンの場合、吸気側も許容値の範囲内・・・なんだけど、バルブごとにバラバラ。
この辺りが、機関車トーマスになった原因・・・なのかなあ・・・
外す前のカムシャフトを見ていて気になったのは・・・
この組み付けられたギア、2枚が綺麗に揃った状態でカムシャフトを構成しているんですよね。
が、長期放置されていたカムシャフトを眺めると(恐らく、一番最初にブローしたエンジンのカムシャフト)
これ、2枚のギアがズレちゃってる。多分、長期放置の間に乱暴に扱われたからだと思うけど。
この状態になっちゃってると、恐らく、完全にシャフトからギアを取り外さないと元に戻せないんだと思います。
今回、外した後、取り扱いに気をつけないと。(今まで気にしてこなかった。)
カムシャフト位置が、「タイミングベルトを取り付ける時の基本位置」の時のクランクシャフトの位置関係がこの写真
ヘッドボルトにKTCのヘッドボルトレンチを差し込んで、ブロックとヘッドを分離・・・・
やっちまった!
ヘッドボルトの差し込み穴、舐めちゃった!全くボルトが緩まない・・・って・・・・まあ・・・なんだかなんだ10年以上車の整備をしていると・・・少々、工具を乱暴に扱うようになります。
こんなこともあるかと、銅バーの太いやつを新品で購入してありました。
この銅バーをKTCのヘッドボルトレンチに当てて、金槌でとにかく叩き込む!!
よし!無事にヘッド側を分離成功!
ノーマルのヘッドガスケットが、見える状態になりました。
クランクシャフトの位置を動かさずに分離したので、真ん中2つのピストンが奥に入っている状態です。
エンジンブロックを逆さにして気になったのが、これ。
シールパッキンブラックを厚く塗りすぎて、クランクベアリングキャップにまで付着しちゃってた。
今のGR86が出荷開始された時にアメリカで話題になったんだけど、あちらの国では、「GR86でサーキットを走ると、次々にエンジンが壊れる。」って問題が発生したそうです。
どうも、オイルパン取り付け時のシールパッキン使用量が多すぎて、オイルストレーナーを詰まらせたのではないか・・・って、訴訟の国で、その後の情報が出てないので、真偽は不明ですけどね。
ま、私達も今後は気をつけます。
コンロッドボルトを外していくと、1箇所だけ「スラストワッシャー」という部品が入っている場所があります。
その位置関係を記録(溝の方向と上下関係を記録しておきたい。)
クランクを無事に取り外した状態。ピストンが見えてきました。
外したコンロッドベアリングをよく見ると番号が入っています。(この写真では2)
入っていた位置も含めて、写真に残しておきます。
この数字の2って、軍手とかで拭いちゃうと消えちゃうんですよ。取り扱いに気をつけないと。
カムシャフトを外したヘッドはこんな感じ。
各バルブのシムがすでにズレているところがありますね。
いっせ〜のせっ!
各バルブのシムを収納しているパーツ類がバラバラ落ちてきました。
4気筒それぞれの燃焼室は・・・なんか・・・すごく湿っているところがあったりと・・・バラバラ。
この後、バルブシステムオイルシールを特殊工具で外していくと、バルブ単体を取り出せるようになります。
取り出した吸排気バルブは、それぞれ寸法が違うのですが・・・まあ・・・汚れ具合は想定の範囲内・・・少なくとも最初に自分たちで作った1基目のベースエンジンよりはマシ・・・だけど、当たり面の状態が各バルブでだいぶ違う・・・あんまりいい状態じゃなかったみたい。
最後に各ベアリングキャップの組み合わせを保持した状態で、防錆袋に収納します。
この辺りは、2基目のエンジンを組んだ時の反省なんですよね。
何が起きていたか・・・は、洗浄の話をするときに。