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スピードC車両(SC車両)に同乗しました [JAFダートトライアル地方選手権2010]



「ミッドシップカー」の加速姿勢ってすごいんですね。
ホントに、たまにTVでみる「サバンナの動物」の加速姿勢みたい。
後ろ足がグッと踏ん張って全力で加速する感じ。
それに比べると・・・FF車の加速姿勢ってのは、やっぱりいびつ・・・というか、無理をしていると思う。
むりやりフロント側の車輪で、重い車体全体を「引っ張っている」感じ。
なんかそんなことを強く思いましたよ。丸和オートランド那須で。

今年から、「東日本のダートラの聖地」と呼ばれている丸和オートランド那須に「ジムカーナコース」がオープンしたんです。
すごいですよ。同じ敷地の中に「複数のカテゴリー」のコースがあるというのは、そんなに珍しくないんです。
FSWとか、ツインリンクもてぎとかね。

でも、なんていったって、この丸和オートランド那須なら・・・ホントにお互いの競技コースが「わずか数歩」で見ることができるんです。
今回、私もガレージオーナーの「選手権で一番苦手なコース」丸和の「弱点克服したいぞ練習会」
(ほぼ願い・・・というか夢想に近い)の手伝いに行ってきました。

昨年から工事をしているのは、脇で見ていたんですけどね。
すごく立派な「コースジムカーナ」場になったと思います。
練習走行されている皆さんの様子を見学していたんですけどね。確かにこれなら・・・ジムカーナやってみたくなるかも。
ダートトライアルに比べたら、「車に与える衝撃」が比べものにならないぐらい少ないですからね。
逆にジムカーナの練習に来ている人が、ダートトライアルの練習の様子も見ることができるし、すごくいい環境だと思います。
まあ、デートのコースには・・・・やめておいた方がいいかなあ。
屋根は全くないし、モーターランド野沢のように立派なおトイレがあるわけでもないしね。

さて、ガレージオーナーのEK4は・・・ダートラの手伝いに来たはずなのにジムカーナ場の方に吸い寄せられちゃったよ。いやいやまったく。
あ、スタートラインから発進したところだ。静かに車体が動き出して・・・全開加速開始!
「パパッ!あのシビックすごい排気音だよ!」
見学に来ていたお父さんに連れられた、小さな男の子の声が遠くまで響く。
すごいねえ。ボク。車、詳しいんだね。

そう。
正確には、JAF競技車両規則において、「スピードC車両/クラス1」と定義されるこのシビックは、実際の競技会では、「スピードA車両/クラス1」と混走で選手権を争う車両。
ナンバー付きのSA車両に比べ、ナンバー無しのSC車両はより改造範囲が広く、選手権を制圧する性能を有することが許される車両。
シーズンオフの間にわずかに排気系に手を加えて、再びこの丸和オートランド那須に現れた。

それなのに・・・同時に会場を訪れていたあの若い彼のシビック(SA車両)にタイムを計るまでもなく、圧倒されているのがわかる。
参ったな。ほんとに。完全に手も足も出ない高みに彼は到達してしまった。

ガレージオーナーをせっついて、彼の助手席に座ってもらう。
外から眺めて悩んでいてもダメだよ。同乗走行で、「同じ世界」を見ないと。
ダートトライアルのいいところは、「練習会だったら」助手席に座って、コースを走らせてくれること。
クローズドサーキットなら考えられない。かわりにその「自由」と引き替えのリスクを無言のうちに問われる。
「あなたは競技車両の助手席に座ったな?それが何を意味するのか、当然わかっているんだろう?」

若い彼は、ガレージオーナーが助手席に乗っているのにもかかわらず、いつもの競技スピードで走ってくれた。
感謝感謝。
おかげで、あきらかにその後の走行で、アクセルの全開時間が長くなった。
まったく・・・「表彰台」の常連になろうとしている人達の能力には本当に驚かされる。
彼はきっと今シーズン、覇権を握るMoty's/SCORCH軍団の進撃を鈍らせることになるだろう。
才能は、完全に開花した。

若い彼のドライブを体感した結果、自信をつけたのか・・・ガレージオーナーが私を自慢のEK4の助手席に乗せてくれることになった。
ふおお〜初めてだよ。競技車両の助手席に乗る体験って。

純正シートに4点シートベルトが取り付けられた助手席に乗り込む。
室内に張り巡らされたロールバーに、アライGP-5Sヘルメットを打ちつけたときに思わず不安になる。
「やだなあ・・・ひょっとして、激しく上下左右に揺さぶられて、ヘルメットが天井とかに当たるのかな?もっと4点シートベルトをきつく締め上げておくんだった。」

ダートトライアルスピードC車両の助手席から見る風景は・・・別に・・・
普通のシビックよりもひょっとしたら目線が高いのかもしれない。車高もあがっているからね。

スタートラインに着き、オフィシャルのお子さんが持つ日本旗が振られると同時に発進。
サーキットでのグリッドスタートと違い、特段アクセルを煽って髙トルクで発進させるわけでもない。
普通の信号スタートと同じ風景。
ぶん廻される高回転Honda-VTECエンジンの音と、路面を蹴りたてるダートトライアル用タイヤの音が室内に充満する。

2速・3速・4速・・・ギヤ比がノーマルから変えられたミッションが素早く変速されていき、見える風景が・・・世界が・・・変わる。

シートポジションは、高く感じていたはずなのにレーシングスピードに達すると視界が・・・低くなっていく。
どんどん着座位置が低くなっていく感覚になり、縦方向に世界が・・・狭くなっていくことを感じる。
茶色い路面が眼前にどんどん押し寄せ、左右にターンを開始するとサイドウインドーに土の壁が迫る!
ただ、体自体はほとんど動かない。固いコイルスプリングと締め上げられたショックアブソーバーが轍を吸収して、「フラットな道」を全開走行している感覚に陥る。

それでも時折、「ガツンッ!」という異音と共に車体の底をこする感触と、しっかり両手で握ったまま(決して片手になることはない。)180度まで左右に廻されるステアリングが、「舗装路を競技速度で走っているんじゃないんだ。」と思い起こさせてくれる。
まったく、さすがに地方選手権4位になったドライバーの腕前というのは、すごいもんだ。
発進前の「ギヤ操作を邪魔しないようにできるだけ体を左に寄せていよう」なんて心配は、全くの杞憂だった。
体がほとんど揺れることなく、1分25秒ほどのコースを全開走行しちゃうとはね。

「丸一日いて、たった2本しか走ることができない競技が、そんなにおもしろいか?」
って思っていたけど、確かにこの世界を体感しちゃうと・・・なかなか他の場所には行けないかもね。
本当は、日本でも「ダートトライアルのようにグラベルを全開走行できる」ラリーが各地で開催されていたら、人々の車への感心が、ここまで薄れることもなかったのかもしれない。
「敷地に囲われた世界」は、やっぱり「閉じた世界」なんだよ。それを知らない人達は、「変わった趣味」「すごい趣味」という言葉で一括りにしたがる。

今シーズンの準備は整ったけど・・・ガレージオーナーに大きな障害が立ちはだかることになった。
彼は、4月から遠い地域に単身赴任しなければいけない。
昨年のシーズン中からその話は出ていて、私は、「異動辞令が出たら、受けなきゃダメだよ。俺たちの年代が踏ん張らなかったら、どの組織も回るわけがないんだから。」って繰り返し言っていた。

彼はだいぶ悩んだらしい。
それでも、決断してくれて良かった。当然なんだよ。力があるヤツのところに仕事は来るし、人々は物事を頼むんだ。

私?あ、私も状況が変わりました。この2月から。私も異動。
って言っても同じフロアね。
ガレージオーナーには、「異動の話が正式に来たら、ぜひ受けるべきだ。」と言っておきながら、昨年夏以来、私自身は2回拒絶。
だって、どう考えても「私の才能を搾取するんだろう?再び。」

最後は、本人がいない日に先にイントラネットに人事異動が掲示されて、翌日、本人に説明があった。
「これまでの仕事は?」と聞いたら、「今まで通りやってくれ。」だって。
昼はセールスマン・夜は企画。って公式に「人の二倍働け」って通達しちゃう企業ってどうよ。今時。

まあいいけどね。
順番が来た。

いつも、「どんなに理不尽だ。って状況におかれても、今は、”力をためる勉強期間だ”って思うんだ。俺より年上の連中は、必ず俺より先にいなくなる。」って思ってやってきた。
状況は自分の想像を超えて、「外圧」という形で激しく転換した。力をふるう機会は、向こうからやってきた。

僕たちは、「中年サラリーマン」
いつの間にかそんな歳になっちゃった。
やらなければいけないことは、学生の頃よりずっと増えてしまった。

春が来る。
きっと、今シーズンの最後まで走りきることはできないんだろう。
状況の変化を嘆く必要なんて無い。
我々は、「環境の変化に対応して進化」している。死んだように生きている暇なんて無いんだから。

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コメント 2

銀

ども。
nice、10個くらい付けたいです。
by (2010-02-28 21:04) 

MF308

うおっと。いつもありがとうございます。
3月に入ったら、すごく忙しくなりそうです。既に毎週末いろいろイベントが・・・
がんばりますですよ。またよろしく。
by MF308 (2010-02-28 22:30) 

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