タイミングベルト交換3回目 [ノーマルエンジンへの換装]
5月1日です。
あれから20年が経ってしまった。
深夜にフジTVをつけたところ、解説者3人の方がコース脇で泣きながら中継が開始された日から20年。
中継の最中に大学の友達から電話がかかってきて・・・「たぶん、10年後、20年後と節目のたびにこの日のことを思い出すんだろうね。」と言ったことを覚えてる。
「もう、モータースポーツで死ぬ人なんて出ないんだ。」って思っていたのに、こんな結末になるなんて・・・
どうだっただろう。20年は・・・長かったような。短かったような・・・
社会人になって、まだ「自分が何者なのか」がわかっていなくて、「なにもできていないのに、こんなに毎月給料をもらっていいんだろうか?」ってずっと思っていた。
とにかく廻りに迷惑をかけないように、できるだけ早く仕事ができるようにならなきゃいけない。ってそればっかりを思っていて・・・以外に早く、5月1日の出来事を記憶の奥に押し込めたと思う。
てっきり、「大学卒よりも大学院卒の方が優遇されてしまう国」になってしまうのかと恐れていたけど・・・
(父親が大学院に進むようにうるさかった。)
そうはならなかった。それどころか、今年になって、日本の科学界を揺るがす大事件が起きているしね。
きっと「日本の博士号ってなんなんだ?」って世界中から思われてる。
大学のコンピュータプログラムの授業で、教授から「アーパネットが民間に開放されたんだ。これから世の中が変わる。」って言われても、「ふ〜ん。」で終わっていた時代。
「インターネット」って言葉をニュースや新聞で知ることはなくて・・・20年後にこうやって、あの日の映像をいとも簡単に見ることができる時代が来るなんて、想像もできなかった。
ちょうど「おミドル様」の自分は・・・20年後の5月1日になにを思うんだろう?
さすがにその頃には、みんな「アイルトン・セナ」の名前なんて忘れちゃっているのかな?
あの時、「セナの記録が塗り替えられることはないだろう。」って思っていたものだけど・・・
もう、確かなんの記録も持っていないと思う。
すべて、この20年で塗り替えられてしまった。
なんていうのか・・・「神がかりの・・・全身全霊でサーキットを駆け抜けないと、記録を作ることができなかった時代」は、遠い過去の物で、「コンピュータ仕掛けの囲いの中で、感動もへったくれもなくて、偉大な記録をいとも簡単に塗り替えられる時代。単なる数字の積み重ね」の世の中になったように思う。
ヒーロー伝説は、悲劇的にしか終われない。
ひょっとしたら、「F1」そのものが無くなっているのかもね。
あるいは、「化石燃料を燃やす?なんて野蛮な」って言われる時代になっているのかも。
さて本題。
あの頃は、「水温が異常に上がるようになっちゃった。エンジンチューナーさんに見てもらうしかないけど、お金が一体いくらかかるんだろう?」ってオロオロしていたけど、いまや自分たちでエンジンをいじりまくりですよ。
あんなことしたりこんなことしたり。
そういえば、今、触っているEP82は、あの頃、販売店で新車を買えるお車でしたよ。
再び「タイミングベルト交換」のお話。3回目ね。たしか。
ラインオフのままのエンジンを、タイミングベルトだけ交換して競技車両に搭載しようというお話。
前回の続き、クランクプーリーを余計な輪っかがついていない物に交換。
と、同時にこのクランクプーリー上方にある「ウオーターポンプ」も新品に交換したんだった。
(写真を撮ってない)
TTC1400の彼が譲ってくれた新品タイミングベルトを取り付け・・・いつもそうなんだけど・・・
ものすっごく力が必要。タイミングベルトを入れる作業が。って思っていたらオーナーが一言。
「違うんだよ。このバネをさ、いつもかけちゃってから、タイミングベルトを入れようとしていたから、大人二人がかりの力が必要だったんだよ。このベルトを外しておけば、全然簡単に入るよ。」
うわあ。ほんとだ。スポッて入った。今までのあの苦労は一体・・・(遠い目)
上側プーリーの穴位置と、クランクの印が合うようにグルグルグ・・・なんか合わないよ。
ここが一番大事なところ。なんで合わない?
って思ったら、タイヤの上にエンジンを載せて作業していることが問題だった。
あのお尻の薄いプレート(前回の記事の所ね)が、タイヤに接触して、うまく回らないんだ。
何とかエンジン全体の位置をタイヤの上で調整して・・・今度は、ちゃんと上の印とクランク側も合ったぞ。
新品のタイミングベルト取り付け完了。各部の締め付けをやろう。
「ちょっと待って!これって、前後の方向があるんじゃない?タイミングベルト。」
「?????}
う〜ん?そうなの?
せっかく取り付けたタイミングベルトをもう一度外して・・・古いベルトと比較してみる。
全然わからん。
古いタイミングベルトの表面文字の方向・・・・
見えな〜い。これはわからないぞ。
諦めた。たぶん、方向性はないよ。平気平気。きっと平気。たぶん平気。大丈夫・・・・
アイドラーボルトを増し締めして、蓋をしよう。面倒だから、クランクプーリー増し締めチェックに使った、この大きなトルクレンチでそのまま締め込んじゃえ。
「こんな大きいのでチェックできるのかなあ。」
「大丈夫大丈夫。エンジン整備書に書いてある数値まで締め込んじゃって。」
ぐるぐる回していく。
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる????
「ねえ。こんなに回さなかったと思うよ。このボルト。」
「平気平気。まだ数値に達してないんでしょ?」
「う〜ん・・・」
ボキッ
・・・・・・・・ボキッ?
「・・・・ねえ。今、変な音、したよね?」
「う、うん。まだ回せる?」
「いや・・・なんか明らかに軽い・・・あ、まずい。ボルトが折れかかってるみたい。」
うひいいいいい〜!
オーナーにそおおおお〜と逆回転に回してもらって、何とかボルトを・・・
ふいいいい〜。よかったばい。無事に外せたばい。
「ふっ。こんなこともあろうかとこのボルトの新品を買ってあるんだよ。はい。じゃ、今度は小さなプリセット形トルクレンチでちゃんと取り付けてね。」
「いや、ちゃんとじゃなくて、持っているんなら、初めから出せばいいでしょ?小さなトルクレンチ。」
「う〜ん。だいぶ前から持っていたんだけどさあ・・・使い方がわからなかったんだよね。プレート形の方が作業がしやすいよ。やっぱり。直に目で見て確認できるモン。」
「なんかさあ・・・このガレージって、”一体どうやって使うんだろう?”って道具が結構あるよね。二度使うのかな?っていうような。」
「それを言うなああああ〜!経験がないから、道具に頼るしかないんだよおお〜」
ふい〜。なんとか無事にタイミングベルト交換作業が完了。やればできるもんだ。
もう、我々を「タイミングベルトマスター」と呼んでくれ。みんな。
「じゃあ、後は配管を見直して、車体に載せよう。」
「あ〜いや、ちょっとやってみたいことが・・・」
「なに?」
「カムシャフトカバー開けてさ、バルブクリアランスのチェックだけでもしない?」
次回予告
「バルブクリアランスの調整なんてできないよ」のお話です。
実は、一回では諦めきれなくて、ここですごく時間を取られることになります。
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